2025年3月25日 家庭連合解散命令
東京地裁決定(鈴木謙也裁判長)要約
第1 「法令に違反」は民法不法行為を含む
解散要件の「法令に違反」(宗教法人法81条1項1号)に民法709条の不法行為が含まれるかにつき、最高裁2025年3月3日決定を引用して肯定的な判断を下した。
第2 「著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる」
解散要件の「著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる」行為をしたことを、以下の通り肯定した(同法81条1項1号)。
1 示談や和解も「不法行為」
家庭連合が敗訴した32件の献金裁判のみならず、裁判前の示談や判決前の和解についても、「合理的な推測」をして不法行為の成立を認めた。
2 コンプライアンス宣言後も「看過できない程度」の規模の被害あり
まず、2009年のコンプライアンス宣言までの約30年間、家庭連合に以下①~③の「問題状況」があり、かつ、この状況が「相当根深い」とした。
① 複雑な家庭環境・不幸な出来事・高齢等の困難な事情を抱える者に対し、
② その問題の原因は怨恨を持つ霊の因縁等によるものが多く、その問題解消のために献金が必要と繰り返し述べて献金を勧誘し、
③ 本人や近親者に借金等の重大な支障が生ずる献金等を繰り返し行わせた。
そのため、その場しのぎの「弥縫策」ではない本質的で実効性のある「根本的な対策」が講じられなければ、この問題状況が残存すると考えるのが合理的と推論した上、家庭連合は弥縫策しか取っておらず根本的な対策を講じていないとした。また、コンプライアンス宣言後もこの問題状況が「看過できない程度」に残存するとした。
さらに、コンプライアンス宣言後に顕在化した被害申告179件中、同宣言後に開始された献金で不法行為が認定されたのは1件1名のみであるにもかかわらず、「顕在化しない」被害申告が相当程度あることが「想定」されるため、「看過できない程度」の規模の被害があり、かつ、行為態様が悪質で結果が重大だとした。
以上を理由に、「著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる」行為をしたと認定した。なお、「看過できない程度」の定義や基準は何も示していない。
3 解散は「やむを得ない」
解散命令により信教の自由が侵害されるという家庭連合の主張に対し、地裁決定は、「法人格の喪失により事実上生ずる影響は、法人格を有していたことに伴う反射的利益に対するもの」に過ぎないことを理由に、解散は「やむを得ない」とした。
第3 家庭連合の主張は無視
地裁決定は、家庭連合が主張してきた以下の3点には何も言及しなかった。
①「法令に違反」や「公共の福祉」という広汎な文言を解散原因とすることは国際法に違反すること
② 解散を申し立てた文科省に協力した多くの背教者が拉致監禁・強制改宗の被害者であること
③ 文科省が提出した陳述書に改ざんや捏造の疑惑があること
以上